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106  根尾昂・第七章 『中日ドラゴンズ合同自主トレ』
平成31年1月16日



【ナゴヤ球場の今】
年改まり正月気分の醒めやらぬ6日、選手寮『昇竜館』に入寮した我が根尾昂はさっそく翌日からナゴヤ球場(旧中日ホームグランド)で自主トレを開始していたが、昨日(15日)からは選手会の若手選手が加わる『合同自主トレ』に移って一般無料公開された。
その様子が毎日のようにスポーツ紙を賑わせ“根尾”の活字が躍らぬ日が無い程の状況に、不謹慎ながら巨人ファンの身がじっとして居られなくなったのである。
押しも押されもせぬスーパー・ルーキーとして世間の耳目を集め、宇野、谷繁、森野ら主力選手がつけていた栄光の背番号“7”を背に躍動を始めた根尾の雄姿をこの目で確かめたいとの募る思いに加え、ナゴヤ・ドームが完成した平成9年(1997)から二軍の本拠地として生まれ変わった懐かしいナゴヤ球場の今の様子を見てみたいとの気持ちも重なって、寒さも厭わず“ご出陣”となったものである。

幸いこのところの厳しい寒さも幾分和らぎ、陽射しに優しさが感じられる絶好の“ナマネオ日和”に恵まれた。
不謹慎ながら球場に行く前に恒例の熱田神宮初詣も済ませることにする。
日頃の息災に感謝するとともに今回は根尾の健闘も併せ祈願し、お賽銭もいつもより多めに・・・・・。
本殿前では初詣仕様を取り払う作業が行われていて、参拝客も普段に近い静けさであった。
10時開場に合わせてナゴヤ球場に向かう。
名鉄山王(さんのう)駅で降り高架沿いに南へ歩くこと約500m、昔々巨人戦のナイター見物に胸を躍らせ歩いた懐かしい路地は殆ど当時のままである。
球場前の広場には壁にDragonsと大書された室内練習場と選手寮『昇竜館』が建てられていて昔の面影はない。正面入場口に廻ると既に長蛇の列で警備員の案内でぞろぞろと入場が始まっていた。
球場内に入りネット裏に立って球場全体を見渡す。
観客スタンドは定員5,000席、外野席は全て取り払われ中央にスコアボードが残るだけと大きく様変わりしているが、左翼後方の5階建てマンションは当時のままで名物であった新幹線が滑るように通り過ぎる光景も昔のままであった。
スタンドの中央部半分ほどが解放されていて見る間に埋まっていく。初日の昨日は650人程が詰めかけたと報じられていたが、今日はそれ以上の1,000人近いファンが来ているものと思われる。
ネット裏一塁側の前から12列目あたりに座った。

【スーパー・ルーキー根尾昂】
外野の芝生グラウンドでは既に30人程の選手が元気な掛声とともに準備運動を始めていた。新人選手は背番号とネーム(ローマ字)入りのベストを着用しているが、そうでなくても機敏な動きと伸ばしたてのヘアスタイルで遠目にも根尾と視認できる。
時々持参のオペラ・グラスで“ナマネオ”を追いかける楽しい時間が始まった。
入念な準備運動の次はキャッチボール、次第に距離を伸ばして遠投に・・・・・。
二人一組のトスバッティングをこなした後、お目当ての内野守備練習に移る。
3グループに分かれてサード、ショート、セカンドの守備位置に入りそれぞれにノッカーが就く。当然ながら超高校級と折り紙つきの根尾のフットワークやグラブ捌きは抜群の冴えを見せている。特に捕球からスローイングに移る無駄のない流れるような身のこなしと送球の速さは素人目にも出色と映る。
荒れたグランドをトンボで均したあとは外野に戻って今度は走り込み、100mダッシュやターンを繰り返す特訓で、ここも率先して取り組む根尾の独壇場。鍛え抜いた体幹にものを云わせて抜群のスピードとフォームを見せつけている。
スタンドからは時折『根尾クン、頑張れ!』と声援が飛ぶ。
ダグアウト前に並んだ報道陣のカメラは明らかに根尾の姿を追っている。スーパー・ルーキーの存在感を存分に見せつけたところでどうやら午前中のメニューは終了し、場内アナウンスは一般公開の終了を告げる。あっという間の2時間で フリー・バッティングもと期待したが残念ながら午前中のメニューには組み込まれていなかった。少々物足りなさを感じながらもやむなく球場を後にしたのである。

待望の“ナマネオ”は昨年6月刈谷での親善練習試合以来で、その間は夏の甲子園、Uー18世界大会、国体・・・と周知の大活躍でその成長の姿を見てきた。
いよいよプロ選手としてのデビューも間近かに迫る中、周りのフィーバーに浮かれることなく基礎体力作りと地道な練習に励んでいると聞く。実に頼もしい限りである。

去る12月8日入団発表の記者会見で200人の報道陣を前に根尾は目指すべき選手像を口にし決意を述べている。
@ まずは守備から、ショートのポジションで肩を活かしたいが、まだ何もしていないのでプレーしていく中で決まると思う。
A 小さく纏まらずホームランを打てる打者になりたい。
B 一年目は土台作りで何事も精一杯取り組む。プロでお金を貰って野球が出来る幸せを感じている。
C 目標は日本一になること。チームが勝つために何でもする気持ちで入団しようと思っている。素晴らしい背番号を貰ったのでこの番号に負けない選手になりたい。

大きな理想を掲げつつも足元を見つめる意識の高さを改めて感じる。
翌日の新聞には大阪桐蔭の西谷監督のコメントが掲載されていた。
『ネット社会が作り出す虚像に惑わされぬように。バッティング技術など未確立で先輩の中田(日ハム)、森(西武)の方が上、苦労すると思うが着実にこなす選手で向上心は間違いなくナンバー・ワン、どう伸びていくか楽しみ・・・・・』と。

合同自主トレは25日に終了、沖縄に移動し2月1日のキャンプインを迎える。
与田新監督ら首脳部は根尾の一軍キャンプ帯同を決めており、根尾は3,4日に予定されている紅白戦に出場を願い出ているという。天晴れなプロ根性で生粋の巨人ファンとしては誠に複雑な心境だが、さすがに“ナマネオ”という訳にはいかず遠い空から沖縄で躍動する姿を追うことにする。

【好事魔多し・・・根尾にアクシデント!】
合同自主トレ終盤の1月23日、練習中に右足ふくらはぎに違和感を訴えて離脱、診察を受けた結果肉離れで加療2週間程度と判明した。寒さに加えスパイクを履いての初めてのベース・ランニングが引き金のようで、残念ながら2月1日のキャンプインは2軍での調整メニュー・スタートとなり希望していた紅白戦出場もお預けとなってしまった。
根尾によればこの部分の故障は初めてでショックは隠せない様子だが、プロの道を踏み出したばかりで何も焦ることは全くない。じっくりと治療し万全の体調を取り戻すことに専念して貰いたいものだ。
      
(了)