『豆蔵日記』へ戻る
BACK TO <TOP PAGE>
 
■保存版■

61 新年を迎えた“豆蔵クン”
平成21年1月24日


生後9ヶ月を過ぎて近頃の豆蔵はヤンチャ坊主から脱皮し、何かしら成犬の風格が出てきたようである。
豆蔵の朝は私の二度目のトイレから始まる。
体内時計が埋め込まれているかのように6時45分から7時までの間に階段を下りる音がすると、それは朝の活動が始まる合図と心得ているようだ。
最初は控えめにクンクン言っているが次第に焦れるようにハウスを爪でガリガリやる音が加わってくる。身支度を整え部屋のカーテンを開けるともう大丈夫と確信したのか静かにハウスが開くのを待つ。
ハウスのチャックを開けると勢いよく飛び出し足元にじゃれ付いて離れない。
さっそく「お散歩」のおねだりだ。
部屋を出ると一目散に玄関へ、リードを見せるとおとなしく顔を突き出してくる。
そして「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモ・・・・・」約20分間の散歩が始まるのである。

もう一人前に電信柱を見ると片足を上げて一晩溜まったオシッコを噴出する。「臭い付け」を兼ねてか一度に全部を出してしまわず何回かに分けてやっているようだ。
そのうちに今度は両の後足を低く構えてウンチが始まる。「得たりや応」とトイレット・ペーパーにくるんでビニール袋に収容するのであるが道の真ん中でやられたりすると慌てる。ついでに固さと色で健康度をチェックしている。時折糸屑のような異物が混じることがあり玩具やタオルをかじってそのまま飲み込んでしまうらしい。帰るとさっそく原因の排除にとりかかるというわけである。
本人(?)はそんな苦労も知らぬ気に身も心も軽やかに再び歩き始める。
お散歩の躾は私に課せられた重要な任務だが、好奇心旺盛な豆蔵はあちらこちらと道草をしたがる。その都度リードを引っ張り歩調を合わさせようとするがなかなか思うようにいかない。時に「ここは譲れんぞ」とばかりに両足を踏ん張って抵抗する豆蔵に手を焼く場面もある。豆蔵の意志も少しは尊重してやらねば・・・・と手綱を緩める優しさが豆蔵を増長させているのかも知れぬと自戒しているのだが。
団地内を20分程度歩くのが豆蔵の散歩のコースで、いつも3,4組の「犬のお散歩」の常連さんに出くわすことになる。近頃はお散歩マナーも向上しているように聞くが、ともすると目立たぬところにウンチが転がっていることがある。そんな時は「犬のお散歩族」の名誉にかけて始末をしてやるのだが、まだまだ不届き者は居るのだ。

散歩から帰ると待ちに待った朝食である。
私の動きから目を離さずドッグフードを取り出そうものなら“狂喜乱舞”で所定の位置に飛んでいき「お利口のポーズ」をとって神妙に待つ。 朝晩二回の食事で一回50グラムのドッグフードだが、あっという間に平らげてしまい後は食器を抱えて舐め回したりひっくり返したり「もっと出せ!」のデモンストレーションだ。
しばらくして効果がないと知るとおもちゃを持ち出して遊び始める。
一人で遊んでいるときもあるが、誰かがいると大抵は「相手をせよ」とばかりにおもちゃを口に咥えて寄ってくる。そして膝の上におもちゃを置いて一歩さがり手にとって投げてくれるのを待っている。
ご希望通り投げてやると一目散に駆けていって口に咥えて戻ってくる。そんなことを何回か繰り返しているうちに飽きてくるのか足元にだらしなく寝そべるのである。しかし体の一部を私の足にくっつけていて少しでも動こうものならすぐ立ち上がってじっと私の目を見つめる。 「無断で離れるな!」と言わんばかりである。

しかし私にも都合がある。そこでよくよく言い聞かせることになるのだが、「オトウサンはオシゴト、豆蔵クンはオルスバン!」と根気よく連呼すると、諦めてちょっと首をかしげながら淋しげな目を向け私が消えるのをじっと見送っている。
その仕草がいじらしくついホロリとするのだが、そのうちにオカアサンやオネエチャンが相手をしてくれるだろうと階段を上る。
このように近頃は通じる言葉も大分増えてきているようだ。
「オスワリ」「フセ」「オリコウ」「マテ」「オイデ」「××ダメ」「ワンツー・ワンツー(トイレ)」「オトウサン」「オカアサン」「オネエチャン」など基本的な言葉のほかに「オサンポ」「オニワ」「オシゴト」「オルスバン」「ゴハン」「オヤツ」「ゴチソウサマ」「オモチャ」「タオル」「モウフ」などが解るようである。うっかり口に出して糠喜びをさせてしまい誤解を解くのに一苦労という“事件”も発生するのだ。それにもう一つ、「ハルクン」とか「ハルチャン」と聞くと明らかに目の色が変わる。豆蔵にとって唯一のお友達(中型のウィーペット)で一緒に遊ぶ仲の嬉しい名前なのである。

午後になると家の中に居るのが退屈なのか、私の顔を見ると途端に落ち着きをなくし椅子に座った私の膝を前足でかきむしり、窓際に行ってはこちらを振り返る。「庭へ出してくれ」との明らかな意思表示である。戸を開けてやると勢いよく飛び出し夢中になって駆け回る。勿論道路へは飛び出せないように垣根の間に柵をしているのだが、走るスピードはかなりのもので庭木の間を縫って走る姿は元祖プードル(猟犬)の血を感じさせるものがある。
道路に散歩の犬や人影があると吠え掛かかってストレスを発散しているようだが、これはよろしくないので何とかしなくてはと思っているところだ。 ひとしきり遊んだあと掴まえて家に入れようとするとこれが一仕事でなかなか思うようにいかない。嫌だとばかりに逃げ回るのを餌で釣るなどして何とか抱きすくめるのだ。
お散歩の時の豆蔵は吠え掛かることもせず、出来れば避けたいという仕草で逃げるくせに家では随分と大きな態度である。

午後3時から4時頃の間に夕方の散歩に連れ出す。
朝の散歩と違うのは学校帰りの子供達に遭うことで「可愛い!」とおだてられ“親子ともども”悦に入る位か。
夕食の後はしばらくモソモソとおもちゃで遊んでいる内に、ハウス用の毛布を置いた籠に“眼”をつけ後足立ちになって盛んにせがみ始める。「眠くなったぞ!」との“豆蔵シグナル”である。毛布をハウスに敷いてやり「ワンツー・ワンツー」と声をかけると、トイレでオシッコをするやハウスの中へそそくさともぐりこむ。そこには夕食の一部の餌が少し入っていることを豆蔵は先刻承知なのである。
あとは物音一つ立てず翌朝まで眠ることになりようやく豆蔵との一日が終る。やれやれと散らばったおもちゃを片付ける。
壁には豆蔵が引っかいて破った生々しい痕があり嫌でも目に入る。成長とともに大きくなってきていて、ハウスに消えた後も自分の存在をアピールしているかのようだ。

まるで豆蔵のペースに巻き込まれているような毎日も、もうすぐ誕生日(4月17日)がやってくる。
さらなる成長が楽しみなこの頃である。

(了)