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56  愛犬『豆蔵』の一日
平成20年7月28日


豆蔵が我が家へやってきて40日、すっかり一家の住人としてのポジションを確立した。

朝一番に起床する私の足音で“耳聡く”察知したのか、もう起き出してサークル内でオスワリのポーズをとりじっとしている。まだ薄暗いので静かにやり過ごしているようである。
6時を回って夏の太陽が昇り油蝉の声が充満する頃ほんものの起床で居間のドアを開ける。すると豆蔵は「時間だ!」とばかりに飛び跳ねる。今度こそサークルから出して貰えると思っているから吠えることはない。オスワリのポーズをとらせて落ち着いたらサークルの入り口を開ける。 「待ってました!」と飛び出して走り回り私の足元にじゃれつく。嬉しさを全身で表現しているのだ。
汚れたトイレを掃除し新しいトイレシートに取り替え給水器やお皿の水を替えてやる。
かくして豆蔵の一日が始まるのであるが、朝食は人間様の後と了解しているので催促して吠えたりすることはない。
身支度を整え帽子を被ると足元に来てオスワリのポーズ、散歩に連れ出して貰えるとわかっているからリードを手にしようものならその手に飛びつき吠えついて催促する。“抱っこ散歩”で家の周りを10分ほど歩いてくるだけだが、それでも外気に触れて豆蔵はご機嫌なのである。本格的な散歩はワクチンの接種が完了するまで当分お預けということにしている。

豆蔵を巡る家族の役割分担はほぼ固まってきた。
三度の食事とそれに直結する躾の主担当はやはり必然的にオカアサンである妻ということになった。最初は“一目惚れ”の私に色々と仕事を押し付けようとしていたようだが、私のあやしい“献身性”に見切りをつけたのか母性本能がそうさせたのか、次第に妻の独壇場になりそれがやはり最も自然な形であると了解されたのである。
ルールブックなどを作って気負ってはみたものの、いざとなると行動に徹底を欠きつい甘さが出てしまう私や娘には叱られながらの補佐役がよく似合うのだと納得している。

したたかな豆蔵は食事時になると妻をマークし片時もそばを離れない。私がそれらしい素振りをしても知らん顔で全く乗ってこない。人間様の食事が終り妻の「ご馳走さま」の声が飛ぶや否や、いよいよボクの番だと云わんばかりに小躍りし二本足で立ったまま5,6歩ほど歩くはしゃぎようである。動物にとって「食」がすべて、些かのジェラシーも入り込む余地はないのだ。
「オスワリ」から「フセ」に移り「マテ」で目の前のドッグフードを睨みながらじっと「OK」の声がかかるのを待つ姿はなかなかにいじらしい。素直に言いつけを守る相手に出会って妻は至って満足気である。

またたく間に平らげるとオモチャやタオルを引っ張り出して一人で遊び始める。
一日に一度ぐらいは廊下や庭の芝生でボール遊びの相手をしてやる。
遠くへ投げたボールを追いかけ咥えて戻ってくる単純な遊びだがご褒美に好物のクッキーを用意するので大ハッスル、大きな耳を上下に全力疾走する愛らしさは我が家の人気抜群のイベントになっている。
遊び疲れるとお昼寝となるがこの頃は暑いせいかフローリングの床がお気に入りのようで、無防備そのものの全くだらしのない恰好で寝てしまう。そんな豆蔵を見とどけ自室に戻ろうと抜き足差し足で歩き出そうとすると鋭い勘で目をギョロリ、さすがに猟犬の血を引く獣性はあなどれぬものがある。そのまま目を閉じる時もあればむっくり起き上がってくる場合もあるが概ねまた横になるのである。

夕方にも“抱っこ散歩”に連れ出すがおとなしく気持ち良さそうにじっとしている。途中で散歩中の人や犬に会ったり車が横を通り抜けるが、吠えるでもなく騒ぐでもなくすずやかに横目で眺めるだけだ。
家に戻り庭に入ると下ろしてくれと手足を突っ張り始め、放してやると勢いよく走り出しテラスへ駆け上がる。何でも舐めたり口に入れるので目が放せずほどほどに室内へ入れることになるが、この分では本格的な散歩の主担当はどうやら私が務めなくてはならない具合になってきている。
夕食も終り遊び疲れてそろそろ横になりそうな気配になったらオヤツを餌にサークル内に誘導し部屋を暗くして人間どもは夫々の部屋へひきあげる。
たまに娘が深夜のBS映画を見ようと居間に入っても静かに横になっているとのこと、そのあたりのケジメはきちんとつけているようで“健気な豆蔵”である。

そして朝一番の私が起き出すまで眠ることになるが、かように“豆蔵見参”以来我が家はまさに豆蔵を軸に回転している。お気に入りの居間もガラリと様変わり、私の指定席も無くなってしまった(写真)。こんな日の到来をいったいいつ予想していただろうか。
因みに豆蔵は生後3ヶ月を過ぎたところで人間で言えば5歳ぐらいのヤンチャ盛り、体重は2.4Kg、身長(頭高)35cmで体格、性質とも順調に成長しているとのお墨付きである。(動物病院)
毛が伸びて縫いぐるみのような豆蔵クンになっているが(冒頭の写真)、ワクチン完了まで美容室はお預けで、もうしばらく暑苦しいのを我慢して貰わねばならない。

(了)