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48  秋 の 乗 鞍

平成19年10月5日


早朝ようやく白み始める頃、屋根を打つ雨音で目を覚ました。
奥飛騨温泉郷新穂高温泉「山荘富貴」の一室である。
深夜に及ぶ同窓会でさすがに瞼は重い。
錫丈岳が間近かに迫る自慢の露天風呂もこの雨では・・・・・と思いつつタオルを持って朝風呂へ。
「今日の乗鞍行きは無理かな」と思いながら朝食の席に着くと雰囲気は全く違っていた。在郷の幹事は「この様子なら大丈夫」といたって強気である。
気がつくと先刻まで降っていた雨は深い霧に変わっていた。
朴葉味噌の香ばしい匂いに包まれた賑やかな朝食の後、5台の車に分乗して宿を出た。

朝霧の国道158号線を走り抜け朴の木平からシャトルバスで乗鞍・畳平を目指す。
霧が晴れ青空が覗き始めたスカイラインは紅葉にはまだ少し間がありそうで岳樺だけかんばの色づきもやや控えめであった。
「いつもなら今が紅葉の盛りなのに・・・」と在郷の幹事はしきりに弁解していたが、「きっと夏の猛暑のいたずらだろうよ」と慰める。
そんなことはおかまいなしに男女半々の68歳ツアーは眼前の大パノラマを楽しみながら畳平に着いた。気温6度と表示されていたが風も無く思ったより暖かい。
鶴ヶ池を巡り乗鞍高原方面を展望するといっぱいに秋の陽差しを受け黄色く染まる樹林が広がっていた。
湧き立つような白い雲に澄み切った青空・・・・・実に爽快な気分である。

標高2700mの畳平に来ても女性軍の元気さは男達をしのぐ。
さっそくどの山に登ろうかと品定めにかかり、 まずは手始めに優しげな大黒岳(2771m)に挑戦することになった。
無論女性軍が先頭に立ち坊主山のようなだらだら坂を登っていく。
頂上は四周を見渡せる広々とした空間で、紺碧の中天にはぼんやりと影が薄いまるで男達のような三日月が浮かんでいた。
さらに今度は女性軍の逞しい“生活力”に脱帽する。
朝ごはんの残りで作ったという「朴葉味噌入り特製のおにぎり」が配られたのである。遠足気分のその味はまた格別でおかわりの2個目を頬張った。
下山し一休みする間もなく今度は眼前に聳える魔王岳(2763m)を目指すことになる。急峻な道を“おにぎりパワー”で登りきると、ケルンのような岩塊の頂上にはもう午後のガスが吹き上げ始めていた。
女性パワーのお陰で2時間半の遊び時間を持て余すことなく、しっかりと体を鍛えこんで山を降りる。あとは古川へ戻ってヤナ場の焼きたての鮎でお開きという次第・・・・・。

12回を数えるこの同窓会(斐太高校昭和33年卒有志の会)、あちこちに故障を抱えるようになった男達を尻目に女性軍の鼻息は益々荒くなるのであろう。 13回目は来年琵琶湖方面に出かけ、その次は古希を迎えて2泊3日の大遠征を企画中とか、在郷の幹事に心からの感謝と声援を送る・・・・・。

(了)