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31  夏の想い出・遥かな尾瀬

平成17年8月10日〜12日


8月10日(水)
初めてのバス・ツアー『はるかな尾瀬と絶景の日光白根山』(2泊3日)に夫婦で参加した。
東海三県から集まった熟年ばかり35名のツアーで、名古屋高速―中央―長野―上信越―関越と自動車道を乗り継ぎ一気に走って群馬県へ、沼田インターを降り名勝「吹割の滝」を見物して夕方「老神温泉」に到着した。夕食後盆踊りに興じたあとは露天風呂に浸かる。夜空に星は無かったが明日の好天を祈る。

8月11日(木)
いよいよ念願の尾瀬湿原トレッキングの日である。
昨夜露天風呂での祈りが通じたか青空ものぞくまずまずの好天でどうやら雨の心配は無さそうだ。
8時宿を出発し、戸倉でマイクロバスとジャンボタクシーに分乗して細い山道を走り9時過ぎに「鳩待峠」に到着。
「鳩待峠」は尾瀬湿原への群馬側の入り口で人気が高く今日も多くの人たちが訪れていた。コースの概要や注意事項などの説明を受けたあと、さっそく峠道を湿原に向って降り始める。昨夜雨が降ったようで濡れた山道の木組みや敷石が滑りやすく神経を使ったが、ここでようやく履いてきた重いトレッキング・シューズが威力を発揮した。
約1時間で湿原の入り口「山の鼻」に着き、あとは午後2時半の集合時刻まで自由に湿原を歩いて楽しむことになる。
私達は湿原を縦断する最もポピュラーなコースを選んで、湿原に浮かぶような木道を「牛首」に向った。
さすがに夏休みの真っ只中、大勢の人たちが列を作って歩いているが、家族連れや若者のグループが多く、熟年族が溢れる景勝地を見慣れた私達には妙に新鮮に写る光景であった。
右側通行で二本の木道が伸びる湿原は真夏とあって意外に花は少ない。6月初夏の頃湿原一面を鮮やかな黄色に染めるニッコウキスゲは枯れ果て、水芭蕉は大きな葉を残すのみであったが、それでもコオニユリ、サワギキョウ、ヒツジグサなど湿原特有の花がひっそりと咲いていてそれなりに楽しませてくれた。
涼風の吹き抜ける広大な湿原には大小様々な沼が点在し、至仏山や燧岳(ヒウチダケ)などの山々を背景に鬱蒼とした森や白樺の林が取り囲んでいる。
この大きくしっかりと根の張る広葉樹の森が「拠水林」と呼ばれ湿原に潤沢な水を保つ貴重な役割を担っているという。
想像通りの素晴らしい景観に細い木道を歩く足取りも乱れ勝ちで、水芭蕉やニッコウキスゲが咲き競う初夏や紅葉の秋の美しさを想像する。
「牛首」から「竜宮小屋」まで足を伸ばそうと思ったが更に一時間半は厳しいと判断して「山の鼻」へ戻ることにした。途中の休憩場所で弁当をひろげ、30分ほどの間に周りの風景を素早くスケッチする(写真)。自然の清々しい空気を吸いながら夫婦で弁当を食べるのも随分久し振りのような気がした。
「山の鼻」へ戻り、「尾瀬植物研究見本園散策コース」を歩く。高原の涼風が実に爽快であった。
指定時刻に「山の鼻ロッジ」前に集まり再び「鳩待峠」を目指し歩き始める。 距離3.3キロ、高低差183メートルの登り道は厳しいが、日頃ジムで鍛えている身にはそれ程でもなく、 芳子は腰の具合を気にしながらも1時間足らずで一気に登りきった。
峠の売店で飲んだビールの味はまた格別、みんなの到着を待って戸倉へ降り大型バスに乗り換えて宿に戻った。
団体客が多勢入るとのことで早めに温泉に浸かってゆっくりと一日の疲れを癒す。 さすがに夜の盆踊りはパス、ロビーで尾瀬のビデオを見るなどして就寝。深夜激しい雷雨があったというが全く気がつかないほどぐっすりと眠った。

9月12日(金)
ツアー最終日は生憎の小雨、ロープウエイで標高2、000メートルの丸沼高原に登り霧雲の上に浮かぶ日光白根山を眺望したり、沼田の天狗様の寺として名高い禅の修業道場「迦葉山弥勒寺」を拝観したりして名古屋への帰路に就く。往復約1,000キロメートルのバス・ツアーであったが、実に気楽でのんびりしていて期待以上に楽しい小旅行であった。
(費用は一人30,000円也)

(了)