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21  愛車の交代―BMWU世の登場

平成16年6月26日 


梅雨の最中なのに時折薄日の漏れる穏やかな土曜日の朝、10年4ヶ月にわたり我が伴侶として縦横の活躍をしてくれた「BM君」とのお別れの日がやってきた。
綺麗に水洗いをし車内も整理してビトー春日井自動車へ向かった。春日井市にあるこの整備工場は20年来の古いお付き合いで今度の買換えでも大変お世話になった美頭社長の会社だ。
積算走行距離は実に155,000キロを越えているが、全体的に緩みと衰えは隠せないものの至って健康で、まだまだ走れる余力を主張しているかのように快調である。このまま手放すのがもったいないような申し訳ないような複雑な気分にかられる。
(車検までにはまだ半年以上間があり買換えを急ぐ必要はないのだが、来年フル・モデルチェンジが予想されており、現モデルの成熟度、安定度からみて今が買い時と判断した。あえて言い訳がましい解説をするなら以上の通りである。)

工場に到着し美頭社長としばらく談笑していると、定刻どおり午前11時に待ちに待った「BMWU世」がやってきた。
ブラックサファイア(黒)に身を包み、やや釣り目の精悍なキドニー・グリル、それに何といっても「225−50」の太いタイヤが逞しく、小柄な車体を乗せてがっちりと路面を掴んでいる。想像通りのプロポーションを見せながらトラックの荷台から降りてきた。
やはり胸を躍らせるものがある。
BMW320i (Highline package)、街でよく見かける最もポピュラーな3シリーズ、「BM君」と同型だが10年の間に車体、エンジンとも一回り大きくなっている。
内装も黒を基調とする落ち着いた感じ。支払を済ませ簡単な操作説明を受けていよいよ我が手に引渡された。

お日柄は「先勝」、午前中なら吉日と美頭社長の気の効いた設定である。
登録番号は希望通り我が誕生日が組み込まれて「岐阜331た12-07、始めての3ナンバーだ。
この車が我が家では6代目にあたり、恐らく「最後の伴侶」となるであろうと、ある種の感慨を抱きながら美頭社長らに見送られて自宅に向かう。同型車種だけに手馴れたもので運転には全く抵抗がない。
エンジンの力強い吹き上がりと滑らかなシフト感覚、ハンドルの軽さ、爽やかなエアコン、それに何といっても路面の肌触りをリズミカルに伝える独特のサスペンション・・・・・まさに至福の時である。

整備工場に残される運命となったBM君はしばらく廃車されることなく代車などに使われるとのことではあったが、工場を出るときバックミラーに映った姿が何とも淋しげで、「俺はまだまだ働けるのに何故“用済”にするのか?」と、どこかで聞いたようなセリフがふっと頭をかすめた。 世代交代は何処の世界でも止むを得ないこと、仕方がないじゃないかとひとりごちる。
そして吹っ切るようにアクセルを踏み込むと「BMWU世」の若々しい反応が伝わってきた。

(了)