こも豆腐

ワラで包んで豆腐を煮込む・・・・・・もともと保存食として工夫されたもので必ずしも飛騨の”専売特許”ではないが、人の集まる時には欠かせない一品で飛騨伝統の料理である。豆腐に沁みこんだワラの香りと模様が特徴で、お祭りや婚礼の膳、正月料理、法事のお斎などには必ず添えられてきた懐かしい料理だ。
飛騨の他に鳥取や茨城にも同名の郷土料理があるが、豆腐の芯に野菜を入れるなど風味は全く違うものである。
昔は家庭で普通の豆腐から作っていたものだが、今では豆腐屋で作ったもの(下記”作り方”の1から3まで)を買ってきて料理するようになっている。
「こも豆腐」が飛騨の”ごっつぉ”の常連として君臨する最大のポイントは豆腐のなかにできる無数の穴”鬆(す)”にある。この鬆(す)が煮物にしたときに出し汁をよく沁みこませて実に芳醇な味を生みだしているのだ。

帰郷の折に姉さんが作ってくれる「こも豆腐」は時間をかけてじっくり煮込んである。大好物の「小芋の煮っころがし」と並ぶと、それはもう私にとってはこたえられない「おふくろの味”双璧”」なのだ。(写真)

そこでその伝統の作り方を紹介する。
(「伝統料理・郷土料理のレシピ」など から)

材 料 豆腐一丁、ワラ適宜
砂糖大さじ3杯、醤油大さじ3杯
煮だし汁 1/3カップ
作り方 1 豆腐一丁を縦半分に切り、ワラも豆腐の長さに切る。
2 豆腐をワラで包みきつめにしばる。
3 大き目の鍋に入れて豆腐の中に”鬆(す)”が出来るまで豆腐を煮る
4 少し斜めの2cmの暑さに切る
5 鍋に煮出し汁、砂糖、醤油を入れ煮立たせ豆腐を入れ味がよく沁みこむまで弱火で煮る。
勘どころ 1 薄味にして時間をかけ弱火で気長に煮込むこと。
2 ワラがなければ「巻き簀(す)」を使ってもよい。
3 保存する場合はわらを取り除き水につけておく。
4 冬なら2週間程度は保存できる。