小芋の煮っころがし

帰郷するとお世話になる姉さんの家でいつもご馳走になるのがこの「小芋の煮っころがし」。
在りし日の母が時折作ってくれて楽しみであったが、今しっかりと姉さんの手に引き継がれている大好物なのである。
おそらく少しの食材も無駄にしない飛騨独特の食文化かと思うが確証はない。
収穫したものの小さすぎて皮をむくのも面倒、そのまま煮込んでしまおうと考えたのであろうか。
表面の皮に油が程よく沁み、ほくほくした中身と一緒になって口の中に広がる香ばしい旨さはまさに”ふるさとの味”だ。(写真)
お盆や祭りなどで妹もやってくるとつい子供の頃の気分に戻って取り合いになり、またたく間に平らげてしまうほどである。
また、この秋出掛けた割烹「蔦」でも膳に並んだが、これもなかなか粋でおつな「小芋」であった。

残念ながらこうした出来損ないの「小芋」はスーパーへ行っても売っていない。 いつだったか畑作りの友人に頼み分けてもらってチャレンジしたが、“生兵法は怪我のもと”鍋底を焦がしてしまう失敗で女房にお目玉を喰らう一幕も・・・・・・簡単そうにみえてなかなか根気のいる難しい料理なのである。

          
以下、姉さんから聞いた調理法と「蔦」の調理法を記す。
姉さんの調理法「蔦」の調理法
@ 小芋をよく洗い(芽をとる)二つに切って皮のついたまま油(サラダ油など)で炒める
(コロコロと転がしながら2〜3分)
@ 小芋をよく洗い(芽をとる)皮のついたまま弱火で煮込む。
塩を“舐めてみてしょっぱいと感じる程度”に入れる。
(これが芋の皮がしわしわになる決めワザ)
水分が無くなる手前で火を止める。
A 水を芋が隠れる程度に入れる
程よいやわらかさになるまで30分程煮込む
A芋を水で洗い塩気をとる。
(サッと洗うのがコツで、大きな芋は半分に切ってもよい。)
B砂糖と醤油をベースに適宜みりんや調味料(だし)で味付けし、皮を通して味がよく沁みこむまで中火で煮込む(約10分) B鍋にサラダ油を落とし芋を入れてコロコロと馴染ませる。
砂糖、醤油、出し汁(だしの素)を入れ味付けする。
C火を止めて約20分後、弱火にして水分が半分程度になるまで煮込み味をじっくりとなじませて出来上がり C 鍋に中蓋(皿でよい)をし約5分おきに芋をころがし焦がさないように味を馴染ませながら、とろ火で水分が無くなるまで煮込んで完成。