下下の国・飛騨は日本のふるさと・・・・・

「旅の徒然・・・」気持ちのいい響きである。
そして「ふるさと・飛騨」、奥深い山あいのこの国は険阻な地形に囲まれ古く伊豆、壱岐、隠岐などとともに「下下の国」と蔑まれた長い歴史を持つ。飛鳥・奈良期には流刑地でさえあった。

飛騨の語源は幾重にも連なる山襞(やまひだ)からきているといわれるように、地図を広げると東は日本の屋根北アルプス、西は両白山地が屹立し北は宮川と高原川、南は飛騨川の深く刻まれた厳しい谷がうねる。
その中央に高山から国府、古川に続く標高500m前後の細い盆地がありここが飛騨の中心地である。

少し車で走れば標高1,000mの高地に出るというように、自然の環境は厳しく厳冬期には零下10度を下回り積雪に悩む日が続く。そんな土地に人々は肩を寄せ合いながら懸命に暮らしてきた。
それだけに驚くような生活の知恵があり、確かな連帯感に支えられた素朴で篤い人情が綿々と受け継がれている。また厳しい自然の中で育まれた飛騨の匠の技が奈良・京都との繋がりを生んで豊かな詩情を加え、独特の文化を今に伝えているのだ。

現在では鉄道や道路も整備され名古屋から2時間の便利さであるが、長い間時流に取り残されてきたことが幸いし、素朴な自然・風俗や人情が、過度の集積と環境破壊に悩む荒んだ心を癒してくれる貴重な存在となっている。
まさに「日本のふるさと」と称して過言ではない。

荒涼とした世情にキラリと輝きを放つ「ふるさと・飛騨」は私の誇りであり、それを大切に受け継いでいる人たちの営みを紹介できることに無上の喜びを感じている。
幼馴染の朋友達と語り合い、懐かしい人情に浸ることを楽しみに今日も飛騨の空へと想いを馳せるのである。
訪れる折があれば是非思い出して欲しいものだ。
(写真は高山・日下部民芸館 平成17年11月)